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習い事に行きたがらない子の環境調整|出発の前に何を中断させているかを見る

習い事に行きたがらない子の環境調整|出発の前に何を中断させているかを見る

5歳の息子の習い事の日は、わたしの段取りから始まります。当日の仕事の調整、持ち物の確認、ついていく3歳の娘の支度。時間が遅い日はお弁当も作ります。本人が習い事をしている時間より、前後の準備のほうが長い日もあります。

習い事の日に「行きたくない」が出る。保護者の方からよく聞く相談です。説得の言葉を探す前に、出発までの流れのどこで止まっているかを見る。今回は、その手前でできる環境調整について書きます。

目次
  1. 「行きたくない」の中身を分ける
  2. 家で試せる3つのこと
  3. 道具を買い足す前に

「行きたくない」の中身を分ける

「行きたくない」と言われて最初に浮かぶのは、習い事そのものが嫌になったのだろうか、という心配です。そうとはかぎらないところに、この悩みのやっかいさがあります。

やめたい、行きたくないの理由をたどっていくと、習い事の中身の話と、中身の外の話が混ざります。楽しくない、うまくできる気がしない、といった中身側の理由もあれば、園のあとの疲れと空腹、家で始まってしまった遊びや動画、移動の長さ、下の子を連れていく日かどうか、といった外側の事情もあります。外から見える姿はどちらも同じで、玄関のあたりで動かなくなります。

幼児の習い事は、園のあとの夕方に入っていることが多いと思います。集団で過ごした時間のあとで、おなかも空いている。家に帰っていったん遊びが始まっていれば、出発はまるごと「楽しいことの中断」になります。

教室にいたころに見ていたのは、次にやることが先に決まっている状態でした。時間割があり、いま使っているものを片づけて次の場所へ移る合図が、全員に同じタイミングで配られます。子どもは、いま楽しんでいるものを自分の判断で切り上げなくて済みます。

家には、その合図がありません。かわりの合図が「そろそろ行く時間」です。楽しいことが終わること自体が引っかかっている日は、早めに声をかけておいても動かないことがあります。予定を伝えておく意味がないわけではありません。ただ、声かけの上手い下手の話に見えて、実際には何を中断させているかの話だった、ということが起こります。

家で試せる3つのこと

教室でうまくいっていた形を、そのまま家に持ち込むことはできません。時間割もなければ、同じ支度をしている友だちもいません。ここから書く3つは、教室で見えていた部分を家の側に置き換えたものです。

1. 止まる場所を覚えておく

「行きたくない」が出た日、どこで止まったかを覚えておく方法です。支度の途中か。玄関か。移動中か。教室の入り口か。直前に何をしていたか、おなかは空いていそうだったか。

理由を聞き出すのではなく、起きた場所を把握します。行きたくない理由をたずねても、本人が言葉にできるとはかぎりません。何回か重なってくると、習い事の中身のほうなのか、そこにたどり着くまでのほうなのか、見当がついてきます。止まる場所がいつも教室の入り口から先なら、下の2つを整えても場所が動きません。そのときは習い事のほうを聞きます。

我が家ではまだ試していない方法です。

2. 出発の直前に中断を置かない

行く日は、帰ったらおやつ、食べたらそのまま出発、という一続きの流れにしてしまう形です。終わりにくい遊びや長い動画は、行く日の夕方には出さない。中断がなければ、出発は切り上げではなく、流れの続きになります。

我が家では、習い事までの手順を先に決めています。行く日の段取りそのものは減らないのですが、その場で考えることが減るぶん、楽にはなります。何時に何を持って出るかが決まっていると、こちらが焦って急かす回数も減ります。

3. 何もしていない時間をなくす

準備の合間や待ち時間に、誰も何もしていない時間ができると、兄妹のもめごとが起きます。我が家で起きるのは、たいていこの空白の時間です。

いまは息子の習い事が主なので、3歳の娘には準備を手伝ってもらうなど、役割を渡しています。手伝うことがあるあいだは、二人が向かい合う時間そのものが短くなります。待っている時間のほうには、順番のもめごと用に作った待ち時間カバンを、そのまま持って出ています。

道具を買い足す前に

ここに出てきた3つで、新しく買ったものはありません。待ち時間カバンの中身も、家にあった物を入れただけです。順番と置き場所を動かさないまま道具だけ増やすと、出発前に片づけるものが1つ増えます。

そして、手前を整えれば行くようになる、という話ではありません。整えられるのは出発までの流れで、習い事の中身は家からは動かせません。中身のほうが嫌なら、無理に続けさせなくていいと思っています。続けるかやめるかの二択にも見えますが、回数を減らす、しばらく休む、別の場所に移る、といった間もあります。

説得の言葉を増やす前に、詰まっている場所をひとつ動かしてみる。今日の夕方から試せます。


参考文献

  • 子ども・青年が組織的なスポーツをやめる理由を43の研究から集めて検討した系統的レビュー(対象の大半は10代・場面はスポーツ):Crane J, Temple V (2015) A systematic review of dropout from organized sport among children and youth. European Physical Education Review, 21(1), 114-131. https://journals.sagepub.com/doi/10.1177/1356336X14555294
  • 切り替えの場面で前もって伝える支援が効く条件・効かない条件を整理した実践ガイド(対象は知的・発達障害のある子ども):Brewer AT, Strickland-Cohen K, Dotson W, Williams DC (2014) Advance Notice for Transition-Related Problem Behavior: Practice Guidelines. Behavior Analysis in Practice, 7(2), 117-125. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC4711751/